今から10年以上も前のことになりますが、現在でも東日本大震災のことを鮮明に覚えているという人も多いことでしょう。
2011年3月11日に東日本大震災は発生しましたが、東北地方から関東にかけての広範囲で、数多くの被害をもたらしました。
人的な被害はもちろんのこと、自然環境にも様々な被害が及び、2万5000人ほどの命が失われ、干潟や海岸林なども被災してしまったのです。
それと同時に東京電力福島第一原子力発電所は損壊し、ここからの放射性物質は現在でもなお、海や土壌、大気中に放出され続けているのが現状です。
東日本大震災によってもたらされた影響について
東日本大震災によってもたらされた影響については、現在でもなお検証や研究がすすめられています。
大きく被災したのが東北地方エリアですが、宮古以北においては直線上の海岸、そして以南ではリアス式海岸があって、仙台平野が広がり石巻以南には砂浜が広がる地形となっています。
多くの川の間には潟湖があり、平野部では水田や畑が広がり、また住宅地も数多く広がっていました。
大きな被災地となった陸前高田市には、東日本大震災が発生する前には、素晴らしい松林があったのです。
それが現在では跡形もなくなくなり、一本の松だけが現在は残り、これが復興のシンボルとして大切にされています。
衛星画像を見るとわかりますが、北上川においても加工から数十km上までは津波によって浸水し、河口に大きく広がっていたヨシ原も大きな影響を受けました。
仙台市には黒松の海岸林もありましたが、これも壊滅的な被害をうけてしまったのです。
相馬市では内陸の農地まで浸水し、非常に大きな影響があったということが分かるでしょう。
特にこの辺りの地域においては、干潟や湿原などが被害にあっているのが実情です。
震災後には海水が流れ込むようになってしまい、干潟ではなくなってしまった場所もあります。
塩水をかぶってしまったところは塩害の影響も非常に大きなものであり、10年経った今でもこれから農業を戻すことができるのか、稲作を戻すことができるのかと大きな課題になっています。
基本的なデータが足りない
このような中で影響についてよくわからないとも言われていますが、その背景には、基本的なデータが足りないからだと言われています。
自然環境基礎調査が1976年に行われ、この時に重要な植物群落の分布が示されましたが、現在この調査の植生図は、ごく一部分の地域にしか作られていないものです。
GPSなどを使い地球の変動などを計測するなど、現代では空間情報技術が役立っていますが、震災後2ヶ月間有益なデータを送り続けたalosは、運用停止になってしまい、この後のデータが取れていない状態です。
チェルノブイリの事例
そしてこの大震災では、福島第一原発事故が発生しましたが、この原発事故がどのような影響を及ぼすのかを考える必要もあります。
その上で非常に参考になるものとして、チェルノブイリの事例が挙げられるでしょう。
チェルノブイリ原子炉夢発電所の事故は、1986年4月に発生しました。
事故の起きた路では、炉心溶融の後に爆発が発生し、放射性降下物がヨーロッパ中心に非常に広い範囲に及んだのです。
現在でも原発から半径30km以内の地域に住むことは禁止されているほどです。
原発から350kmの範囲内には、ホットスポットと呼ばれる局地的な高濃度汚染地域もあり、この数はなんと100箇所にもなります。
ホットスポットの中では、農業や畜産業を営むことは禁止されているのです。
チェルノブイリの爆発によって、待機中には推定で520万テラベクレルもの放射性物質が放出されたと言われています。
福島原発事故の場合には77万テラベクレルだと言われていますが、現在でも微量とはいえ放出が続いているのが実情です。
放射性物質の汚染に関しては、今後長期にわたり、重大な影響を及ぼすことが予想されるでしょう。
生態系への影響について
この事故における生態系への影響も調べていますが、両生類や爬虫類、鳥類や哺乳類など様々なグループにおいて、放射能の汚染の程度が高くなるにつれて、個体数が減少する傾向が顕著に表れています。
その中でも特に顕著な傾向が見られるのが鳥類と哺乳類だとされています。
福島原発事故に関しては、今後様々な範囲で分類群を対象にした影響評価を行う必要があるでしょう。
モニタリングに適する生物を選んだ上で、汚染地域や対象地域での生存や繁殖、個体数などを比較する必要があります。
チェルノブイリは内陸であったため海の生態系への影響を明らかになっていないものの、東日本大震災の場合には、海の生態系の影響も調べていく必要があるのです。
東日本大震災においては、自信そのものよりも、津波の被害の方が明らかに大きく、沿岸域においては大きな被害が発生しました。
まとめ
海の生態系への影響も大きく、この地域の産業や生活は、漁業や養殖を始めとした海の生態系に非常に大きく依存していたのです。
この地域の人たちは何百年に渡りこの生態系を享受し、これがなくなってしまったということは非常に大変なことです。
震災の影響や復興は、人間の命、生活や産業が優先されてしまいますが、しっかりと考えていく必要があるでしょう。
最終更新日 2025年8月6日