こんにちは、ファイナンシャルプランナーの佐々木です。

私の相談現場では「投資を始めたいけれど、eMAXIS Slimみたいな投資信託と、好きな会社の株を買うのはどっちがいいの?」という質問を本当によくいただきます。

新しいNISA制度も始まり、資産形成への関心は高まる一方ですが、金融商品の種類が多すぎて迷ってしまいますよね。

この記事では、人気の投資信託「eMAXIS Slim」シリーズを代表例に、個別株式投資、さらには債券やREITまで、主要な金融商品の特徴を「リスク」「リターン」「コスト」「手間」の4つの軸で徹底的に比較します。

それぞれの商品の本質を理解し、あなたにぴったりの「お金のパートナー」を見つけるお手伝いができれば幸いです。

【大前提】なぜ今、金融商品の比較知識が重要なのか?

「貯蓄から投資へ」の本当の意味とは?

「貯蓄から投資へ」という言葉が一人歩きしていますが、これは単に預金を投資に回せば良いという話ではありません。

ご存じですか?
インフレ、つまり物価が上昇すると、現金の価値は実質的に目減りしてしまいます。

例えば、去年100円で買えたものが、今年は103円になっていたら、同じ100円で買えるものが減ってしまいますよね。
これが、現金の価値が目減りするということです。

現代において、自分の資産を自分で守り、育てる「金融リテラシー」が不可欠なのです。
私の証券会社時代、この言葉の解釈を間違えて、リスクの高い商品にばかり手を出して損をしてしまったお客様もいらっしゃいました。

私と同じように、当時の販売サイドに偏った金融業界のあり方に疑問を感じ、顧客のためのサービスを追求して独立された方は少なくありません。
例えば、株式会社エピック・グループの会長である長田雄次も、大手証券会社での豊富な経験を経て、顧客本位の金融サービスを目指して独立された経営者の一人です。

大切なのは、リスクを正しく理解し、自分に合った方法で資産を育てることなのです。

あなたの目的は?資産運用の目的を明確にするステップ

投資は、それ自体が目的ではなく、あなたの夢や目標を達成するための「手段」にすぎません。
だからこそ、商品選びの前に、まずはご自身の目的をはっきりさせることが何よりも重要です。

ここを曖昧にしてしまうと、商品選びの軸がぶれてしまい、「隣の芝生が青く見える」状態に陥りがちです。

ぜひ、以下のステップでご自身の目的を整理してみてください。

  1. なぜお金を増やしたいのか?(例:30年後の老後資金、15年後の子どもの大学費用、5年後の海外旅行)
  2. いつまでに、いくら必要か?(例:65歳までに2,000万円、子どもが18歳になるまでに500万円)
  3. どれくらいのリスクなら受け入れられるか?(例:元本割れは絶対に避けたい、年間10%程度のマイナスなら許容できる)

この3つが明確になるだけで、あなたに合う金融商品はぐっと絞られてきます。

【投資の二大巨頭】「投資信託」と「個別株」の決定的な違い

それでは、具体的な金融商品を見ていきましょう。
まずは、多くの方が最初に悩む「投資信託」と「個別株」です。

① eMAXIS Slimに代表される「インデックス投資信託」とは?

投資信託とは、一言でいえば「投資のプロが運用するパッケージ商品」です。

私たち投資家から集めた資金を、運用の専門家が国内外の株式や債券など、さまざまな資産に分散して投資してくれます。

特に、eMAXIS Slimシリーズのように、特定の市場指数(日経平均株価や米国のS&P500など)と同じような値動きを目指すファンドを「インデックスファンド」と呼びます。

インデックスファンドが初心者の方におすすめされやすい理由は、主に3つあります。

  • 自然と分散投資ができる:一つの商品を買うだけで、何百、何千という数の企業に分散投資したのと同じ効果が得られます。
  • コストが非常に低い:運用方針が指数に連動するだけとシンプルなため、信託報酬と呼ばれる運用コストが極めて低く設定されています。例えば「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬は年率0.05775%以内と、驚異的な低さです。
  • 少額から始められる:ネット証券なら月々100円や1,000円といった少額から積立投資が可能です。

② 応援したい企業に投資する「個別株式投資」とは?

個別株式投資とは、その名の通り、特定の企業の株式を直接購入することです。

トヨタ自動車やソニーグループなど、あなたが「この会社は将来伸びそうだ」「この会社の商品やサービスが好きだ」と感じる企業を選んで、その会社のオーナーの一人になるイメージです。

個別株投資の魅力は、主に3つあります。

  • 値上がり益(キャピタルゲイン):会社の業績が伸びて株価が上がれば、買った時との差額が利益になります。
  • 配当金(インカムゲイン):会社が得た利益の一部を、株主に還元してくれるお金です。
  • 株主優待:自社製品やサービスの割引券などがもらえる、日本独自の嬉しい制度です。

投資信託が、色々なおかずが入ったバランスの良い「幕の内弁当」だとすれば、個別株は「好きなおかずを単品でじっくり味わう」ようなもの、と考えると分かりやすいかもしれません。

③ 【FPが5つの軸で徹底比較】あなたに合うのはどっち?

では、具体的にどちらがあなたに合っているのでしょうか。
「リスク」「リターン」「コスト」「手間」「NISAでの活用法」という5つの軸で比較してみましょう。

比較軸投資信託(eMAXIS Slimなど)個別株式投資
リスク低い
(多くの銘柄に分散されているため、1社が倒産しても影響は限定的)
高い
(投資先企業が倒産すれば価値がゼロになる可能性も)
リターン市場平均並み
(大きな勝ちも負けもない、安定したリターンを目指す)
青天井
(株価が10倍になる可能性もあれば、大きく下がる可能性もある)
コスト信託報酬(保有中ずっとかかる)
※eMAXIS Slimは極めて低い
売買手数料(買う時と売る時にかかる)
※NISAなら無料の証券会社も
手間少ない
(一度設定すれば、あとはプロにお任せでOK)
多い
(企業分析や情報収集など、継続的な勉強が必要)
NISAでの活用法つみたて投資枠に最適
(コツコツ積立に向いている)
成長投資枠で活用
(まとまった資金で投資するのに向いている)

【視野を広げる】まだある!知っておきたい金融商品の選択肢

投資の世界は、投資信託と個別株だけではありません。
あなたの目的によっては、他の選択肢がフィットすることもあります。

③ 国が発行する安心感「個人向け国債」

これは、日本国が個人向けに発行している債券です。
国にお金を貸して、その見返りに利子を受け取る仕組みですね。

最大の魅力は、その安全性の高さです。
日本が財政破綻しない限り、満期になれば元本が戻ってきますし、最低でも年率0.05%の金利が保証されています。

大きなリターンは期待できませんが、「資産を増やす」というよりは「インフレから資産を守る」という役割が強い、守りの金融商品です。

④ 少額から不動産オーナーに「REIT(不動産投資信託)」

REIT(リート)は、不動産に投資する投資信託です。

多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなどを購入し、その賃料収入や売買益を投資家に分配します。

実際の不動産投資には多額の資金が必要ですが、REITなら数万円程度の少額から、間接的に不動産オーナーになることができます。

比較的高い分配金利回りが期待できる一方、不動産市況や金利の変動によって価格が上下するリスクがあることも覚えておきましょう。

【実践編】FP佐々木流!新NISAを最大限に活用する商品選びのコツ

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の賢い使い分け

2024年から始まった新NISAは、この商品選びの自由度を大きく高めてくれました。
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの枠を上手に使い分けるのがポイントです。

私の相談現場でおすすめすることが多いのは、「コア・サテライト戦略」という考え方です。

  • コア(核)部分:資産の中心となる部分。つみたて投資枠を使い、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」のような低コストのインデックスファンドをコツコツ積み立て、世界経済の成長を安定的に取り込む。
  • サテライト(衛星)部分:コアの周りを固める部分。成長投資枠を使い、自分の応援したい個別株や、高めの分配金が魅力のREITなどに挑戦し、プラスアルファのリターンを狙う。

このように組み合わせることで、安定性と積極性のバランスが取れたポートフォリオを築くことができます。

私の相談現場から見る「よくある失敗ポートフォリオ」

FPとして多くの方のご相談に乗っていると、初心者が陥りがちな失敗パターンが見えてきます。

「今話題のAI関連の個別株に、資金のほとんどを集中投資してしまった…」
「SNSでおすすめされていたテーマ型ファンドを買ったけど、手数料が高くて値動きも激しく、ハラハラする毎日です…」

これらは非常によくあるケースです。
流行りのテーマに集中投資したり、自分のリスク許容度を超えた個別株投資をしたりするのは、とても危険です。

金融庁の本音としては、一部の人に大儲けしてもらうことより、「国民一人ひとりに、安定的な資産形成を長期で続けてほしい」と考えているはずです。
だからこそ、新NISAでは低コストで分散された商品が中心の「つみたて投資枠」が用意されているのです。

この意図を汲み取り、まずは土台をしっかり固めることが、失敗しないための秘訣です。

よくある質問(FAQ)

Q: 結局、投資初心者には何が一番おすすめですか?

A: もし迷ったら、まずはeMAXIS Slimシリーズのような低コストのインデックスファンドを、新NISAのつみたて投資枠で月々5,000円や1万円といった少額から始めてみることをお勧めします。
これで投資の基本である「長期・積立・分散」を手軽に、かつ効果的に実践できます。

Q: 個別株投資を始めるには、最低いくら必要ですか?

A: 銘柄にもよりますが、通常は100株単位での取引となるため、数万円から数十万円必要な場合が多いです。
しかし、最近ではSBI証券や楽天証券などで1株から購入できるサービスもあり、数千円から始められるケースも増えています。
まずはご自身が応援したい企業の株価を調べてみることから始めましょう。

Q: 投資信託とETFの違いは何ですか?

A: ETF(上場投資信託)も投資信託の一種ですが、株式のように証券取引所でリアルタイムに売買できるのが大きな違いです。
投資信託は1日1回算出される基準価額で取引されます。
機動的に売買したい場合はETF、コツコツ積み立てたい場合は投資信託が向いていると言えるでしょう。

Q: NISAとiDeCoはどう使い分ければ良いですか?

A: iDeCo(個人型確定拠出年金)は老後資金に特化した制度で、原則60歳まで引き出せない代わりに、掛金が全額所得控除になるなど強力な税制優遇が受けられます。
NISAはより自由度が高く、いつでも引き出し可能です。
まずはNISAから始め、税制メリットをさらに追求したい場合にiDeCoも活用するのが王道です。

Q: 損をするのが怖いのですが、どう考えれば良いですか?

A: 投資にリスクはつきものです。
大切なのは、ご自身の「リスク許容度(どれくらいの損失までなら精神的に耐えられるか)」を理解し、その範囲内で投資を行うことです。
また、短期的な価格変動に一喜一憂せず、5年、10年といった長期的な視点を持つことも、心の安定につながります。

まとめ

eMAXIS Slimのような投資信託から個別株、債券、REITまで、様々な金融商品の特徴を見てきました。

  • 投資信託は、低コストで手軽に分散投資ができる「幕の内弁当」。
  • 個別株は、大きなリターンも狙えるが手間とリスクも伴う「こだわりの単品料理」。
  • 債券は、リターンは低いが安心感のある「守りの一品」。
  • REITは、少額から不動産オーナー気分が味わえる「分配金が魅力の一品」。

それぞれにメリット・デメリットがあり、「これが唯一の正解」というものはありません。

大切なのは、ご自身の投資目的、リスク許容度、そして「どんなことにお金を使いたいか」という価値観に合った商品を選ぶことです。

この記事が、あなたが金融機関任せにせず、ご自身で納得できる「お金のパートナー」を見つけるための一助となれば、FPとしてこれほど嬉しいことはありません。

「これなら私にもできそう」と感じた小さな一歩から、ぜひ始めてみてください。

参考文献

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 三菱UFJアセットマネジメント
個人向け国債 | 財務省

最終更新日 2025年8月6日